ビットサミット – 二木幸生氏と北尾雄一郎氏の対談「ゲームシステム作りのきっかけ」とは!|ステージ講演内容紹介まとめ

ビットサミット(BitSummit) 2017にて講演された二木幸生氏と北尾雄一郎氏の講演内容を紹介します。

講演内容紹介

第5回ビットサミットの2日目、グランディング株式会社の取締役「二木幸生」氏とジェムドロップ株式会社代表取締役の「北尾雄一郎」氏が登壇しました。
当初二木氏のみの公演予定でしたが、二木氏から北尾氏へのオファーにより、急遽北尾氏の登壇が決定しました。
登壇時の内容を二木氏と北尾氏の両名の対談方式によりお伝えいたします。

ゲームシステムをどこから考えるのか

  • 二木氏(以下敬称略)
  • 今日はゲームシステムをどういうきっかけで考えるのか、ということを今日出展されてるジェムドロップさんの『ヘディング工場』について伺いながら話していきたいと思います。
    まず最初に伺いたいんですが、ゲームシステムって作っても面白いかどうかって人によりますよね。
    なので僕はシステムは体験から考えるんですね。
    例えば昔のゲームですけど、『ストリートファイター2』だったら友達と対戦するっていう体験がまずあるわけじゃないですか。
    仮にあのゲームのシステムがあまり面白くなかったとしても、対戦するという体験だけは誰にとっても不変なので、とまずそういう所から考えてますね。
    あとシステムから考えると独りよがりな感じになってしまうので。
    北尾さんはどういう所から考えてますか。

  • 北尾氏(以下敬称略)
  • 私は考えるきっかけがいくつかあるんです。
    どうやったらこの人はこういう駆け引きの時にAとBに悩んでくれてという感じで考えてますね。
    その時Bを選んだけど、ただAとBの答えが用意されてるんじゃなくて、途中でランダム性とか博打性とかが必要だと思うんです。

  • 二木
  • 僕は実力7割、運3割って考えていて必ずゲームには運の要素が必要だと思うんですよ。
    将棋とかってルールとしてすごく美しいんですけど、上手い人とやったら100%負けるじゃないですか。

  • 北尾
  • そうなんです。
    場が荒れる必要があるんですよね。
    場が荒れないと特に対戦なんかそうですが、場の荒れ方が個人の実力だけじゃなくて環境が変わるっていうか、そういう方法を考えますよね。
    システムについてなんですが、僕もシステムありきじゃなくてアーティスティックな部分から考えますね、こういう表現をやりたいからこういうシステムにするという感じです。

ゲームの根底になる体験

  • 北尾
  • 後はさっき話にでた、実体験の面でいうとVRのヘディングの演出について。
    僕は運動音痴なんですけど、中学校の時とかヘディングをやって顔面にボールが当たるとかつらい体験があったんですね。
    でもVRだったら痛くないなってそういう考え方のスタートもありますね。

  • 二木
  • 僕も1つ気を付けてることがあって、学習コストというかゲームを始めて遊んだ時に覚えなきゃいけないことをあまり多くし過ぎないっていうことですね。
    こういうシステム面白いからあれもこれも覚えてよってなりがちなんですけど、そうならないように気を付けてます。
    反面、ちょっとそういうのもやりたいっていう気持ちもあって、それをどこで線引きするか結構悩みます。

  • 北尾
  • ただ操作が複雑っていう所にも若干メリットがあるんです。
    人と一緒にやったり、人に教えたりしながら遊ぶゲームについてですね。正直言っちゃうと『モンハン』とかめちゃくちゃ難しいじゃないですか。
    ここでこうするとかここが違うとか、コミュニケーションが生まれるっていう点が複雑な操作の良さでもあるんですよね。
    だから複雑な操作も一概にっていうのもあるんですよね。

  • 二木
  • そこがどういう体験をするかっていう前提ですよね。
    登録して遊ぶゲームだったら会話のきっかけをシステム側から提供するべきだし、一人で突き詰める遊び方をさせたかったら学習していくように作るとか。
    そこに立ち返るんですよね。遊んでいる人のイメージをどれだけ明確に持つかっていうことですかね。

必要なストレス、ゲームの要素と調整

  • 二木
  • あと僕がよくやるのは全然違うものを二つ並べて足してみるっていうことですね。

  • 北尾
  • あぁ、足し算というか掛け算ですかね。
    ちょっと違うかもしれませんけど、評価には加点する評価と減点する評価がありますよね。
    これを失敗したらだめっていうデザインをする方法もあるし、いいことをしたらひたすらほめていって結果どうなるかっていうのもある。
    僕はどっちかっていうと減算する評価はあまり好きじゃないんですよ。

  • 二木
  • 自分も何か失敗したら下げるんじゃなくて、成功したら足すっていう方向に行きますね。

  • 北尾
  • やっぱり新しいものを作りたいけど、完全な新規ってそもそもないんですよね。
    これっぽいものとこれっぽいものを賭けてみたら新しくなるんだろうかっていう。

  • 二木
  • 後さっきの加算減算の話なんですけど減算されるとストレスを感じるじゃないですか。
    ただゲームってストレスを与えて、ストレスから解放するのが気持ちいいみたいな所があるんですよ。
    どこまでをストレスにして、これは与えていいストレスなのかダメなストレスなのか結構システムを作るときに考えますね。

  • 北尾
  • ストレスのかけ方も方法がありますね。これはだめっていうストレス、我慢するストレス、溜め攻撃とかまさに我慢するストレスじゃないですか。
    溜めてる間は攻撃できなくてダメージを受ける可能性があるけど、それを解放するとダメージ2倍みたいな。
    そういうのもストレスの1つだし、いっぱいある気がするんですよね。

  • 二木
  • その試し感をどうするか、そこでストレスと解放のバランスができてるんですごく気を付けてます。

  • 北尾
  • そこはこうじゃなきゃいけないっていうのはなくて調整とかまさに体験として、絶対の体験としてそれが成立しているかどうかが重要ですよね。

  • 二木
  • そんな風に色々考えながらシステムを組んでるんですけど、組み終わった時頭の中で考えてそれを実証したいじゃないですか。
    僕はここ何年間かその実証する方法をつくってて、実況動画を想像するんです。
    自分が作ったゲームがyoutubeに上がった時に、スーパープレイとか、どんな動画があがるだろうっていうのを考えてみるんです。
    こんな実況動画が熱いぜとか、こんな話しながらこんな動画があがるかなとか考えてみるんです。
    盛り上がらなかったら、これもやっぱりまだ穴があるなとか、盛り上がりそうだったらいけるんじゃないかなみたいに考えるんで、すごく大事だなって思いますね。
    こういうビットサミットみたいな場で盛り上がって遊んでもらえるかどうかって試金石だと思うんで、そういう意味ではこういうイベントずっと続いてほしいですね。

登壇者紹介(敬称略)

二木幸生
二木 登壇
1992年(株)セガエンタープライゼス(現セガゲームス)入社。
2007年グランディング株式会社創業、 2012年に福岡スタジオ設立。
代表作「パンツァードラグーンシリーズ」「ファントムダスト」「クリムゾンドラゴン」など。

北尾雄一郎
北尾 登壇
日本一ソフトウェアにてプログラマーとしてゲーム開発を行う。
後に株式会社トライエースへ移籍。
2013年5月にジェムドロップ株式会社を設立、代表取締役。
代表作「スターオーシャンシリーズ」「ヴァルキリープロファイルシリーズ」など。

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