ビットサミット(BitSummit) 2017のステージ上で講演された『Killer Queen(キラークイーン)』開発者Nikita Mikros(ニキータ ミクロス)氏の講演内容を紹介します。
講演内容紹介
『Killer Queen』開発者のNikita Mikros氏がゲームクリエイターのあり方を語る
『Killer Queen』の開発会社「BumbleBear Games」のCEO「Nikita Mikros」氏が第5回ビットサミット2日目に登壇しました。
Nikita Mikros氏は『Killer Queen』開発までのクリエイター人生と『Killer Queen』の運営状況をなどを交えながら、クリエイターとしてのあり方について語りました。
本記事では講演内容を通訳を通してライターが聞き、要約した内容を本人の講演方式でお伝えします。
クリエイターとしての悩み
今日はやりたいゲームを作る方法についてお話ししたいと思います。
金銭的な問題や社会からのプレッシャーに負けず、本当に作りたいゲームを作る方法についてお話します。
当然こういう方法が一番いいですよと断言することはできませんが、自分の話をして皆さんに役立てば幸いです。
趣味としてのゲームを作り始めたのは1982年、仕事としてゲームを作り始めたのは1997年からです。
2005年には「Tiny Mantis」というスタジオを立ち上げ、ニューヨークにあるほかの会社と同じように無料でプレイでき、ゲーム内に広告が表示されるタイトルを作っていました。
役7年間こういったゲームを50本くらい作り、その時の経験から小さいゲームを期間内にたくさん作ることは学べました。
当時、金銭的に不満はありませんでしたが、自分が気に入ったゲームをブラッシュアップする時間も余裕も有りませんでした。
当時の私は好きなゲームを作るには、自分がもっと大きな会社を立ててオリジナルのゲームをヒットさせ、そこで生み出した資金で自分たちの作りたいゲームを作るしかないと考えていました。
時間が経つにつれて絶対これが作りたいという意思がないプロジェクトでも、自分やスタッフの給料を支払うためにやっているというような状況になっていました。
クリエイターとしてゲームを作るために仕事をやらなくなって、薬剤会社の広告のためのゲームなどを作っていました。
この頃、「私は何をしているのだろうか」「こういうことをして生きていかなければならないのだろうか」と考え始めていました。
オリジナルゲームの開発
自分たちの考えたオリジナルゲーム『Propaganda Lander』を発売することができました。ゲームの評価は良かったのですが、あまり売り上げは伸びず、多くの委託業務が発生してしまいました。
その数年前から「Josh」と会っており、彼も再委託業務をしている会社で働いていました。「Josh」とゲームを作ることについて話をすのは楽しかったです。
仕事のゲーム開発とは別に自由な時間に「Josh」と一緒に、体を使って遊ぶゲームを作り始めました。
「Josh」とはとても相性が良く、彼はボードゲームを作っており、私はテレビゲームを作っていたのでお互いに学ぶことがありました。
その頃に『Pigeon Pinata Pummel』や『Pitfall! Live at the Tank』などを作りました。
特に『Pitfall! Live at the Tank』は子供のころに遊んだゲームのオマージュでもあって、すごく作るのも楽しかったし、ゲームに関する賞ももらいました。
『Killer Queen』は3つ目のプロジェクトで、体を使って遊ぶゲームです。
これらの作品を通してマルチプレイのゲームに対する思想というのが出来あがりました。
『Killer Queen』について
『Killer Queen』は技術を使ったゲームではないので、ゲームデザインだけに集中することができました。
自分の先入観をぶち壊したゲームを作ることができて、今後自分の仕事としてやっていきたいことも分かったような気がしました。
『Killer Queen』は体を使った遊びとしての賞も受賞しました。
イベントで人気があるゲームだったので、それをテレビゲームにし、サウンドやアートも自分たちで作りました。
『Killer Queen』の筐体をもっと売ってくれないかという話も来るようになって、それを量産するようになりました。その際に「Josh」と会社を合併して「BumbleBear Games」を設立しました。
『Killer Queen』の熱心なファンのコミュニティが様々な場所で大会を開催してくれます。去年には「BumbleBash」という初の全国大会が開かれました。
このゲームのファンの皆さんが凄く優しい心をもってゲームに取り込んでいることが、開発者としてすごくうれしいです。
多くのファンから引っ越し先で『Killer Queen』を遊ぶようになって友達がたくさんできましたというエピソードをよく聞きます。『Killer Queen』を遊んで出会った人の結婚式もありました。
ファンの皆さんにゲームのaアセットなども無料で貸し出しており、アセットを使うのであれば何か新しいものを作ってほしいという事だけは伝えています。
自分たちは今お金持ちというわけではありません。開発者としてのクリエイティブな精神を失わずに、利益を上げるのは非常に難しいことだと思います。
しかし『Killer Queen』のコミュニティなどもできたことは非常に光栄に思っています。
登壇者紹介
■Nikita Mikros
ゲーム企画・開発スタジオ「BumbleBear Games」共同設立者、CEO。
「Killer Queen」などローカルマルチプレイゲームやアーケードゲームを得意とする。
現在ローカルマルチプレイ式のアーケードゲームとeスポーツとの交点に注力。
10人同時プレイ可能な人気アーケードタイトル「KillerQueen」で各種賞を受賞している。
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